★「仁」と「礼」・・・・・・・自己抑制と他者への思いやり |
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儒学の教えのなかで,孔子が最も重視したのは,「仁」です。
「仁」とは通常、孔子が提唱した道徳観念のことで,「礼」に基づく「自己抑制と他者への思いやり」のことです。
道徳思想の中心に据えられ,「仁」はあらゆる徳を統括する、一番大切な徳としました。
近代になると中国では,「万人の平等を実現する、相互的な倫理とみなされるようになった」と云われています。
そして,「真の人間らしさの発現(人間としての徳と慈愛)」の実践を、大切にしています。
「人としての徳を磨き,それを広くおよぼす」
「己れの欲望に打ち勝ち,善なる本性を回復する」、立場として重要視されるようになりました。
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のちに,次の「八条目」が儒学の骨子を示すようになります。
一、物の道理を究め、己れに光明を与える(格物)。
二、真理の知識を発揮する(極知)。
三、誠の心を確立する(誠意)。
四、精神や心を正しくする(正心)。
五、体を修練する(修身)。
六、一家を正しく導く(膂家リョカ)。
七、国を治める(治国)。
八、世界を平和にする(平天下)。
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★五常・・・・・・・「仁、義、礼、智、信」 の五つの徳 |
仁 |
「仁」は慈悲やおもいやりのことで、多くの徳の核心です。
人に「仁」があれば、あらゆる徳の元素を生み出します。
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孔子は最も詳しく「仁」を論じています。曰く、「仁は人なり。」「仁は人を愛す。」
孟子はこういいます、「この仁すなわち人々が、全て完全無欠の特性を具備すれば、人の心徳、元性、良心であります。故に万物同体であり、殺?を造らず己に克ち礼に復す。これを仁と言います。」
つまり、争いも戦争も起きない、ということですね。 |
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義 |
「義」は宜です。裁判事務はそれぞれ宜たるべし。
孟子はこういいます、「義は路なり。人の正路なり。」
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又、「この故に義は人々が遵い行うべき正路である。もし生と義が両方を満たさない場合は、生を捨て、義を取るものなり。」
つまり、たとえ死んでも義理は果たさないといけない、ということですね。
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礼 |
「礼」は事をなすときの品行であって、人の元神、天理の節文、正しい人身の法です。
男は才良を学び、女は貞節を慕う。廉恥は常に存す。淫乱は犯さず、正をもって本となし、是礼徳なり。
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「礼」はすなわち是一種の節度,一種の規範で、何かをする場合、すべて節度を守るべきで、これを礼の道としています。
「礼は理なり」。是が規則に則った態度なのです。つまり、礼節は非常に大切なのです。
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智 |
是か非か、正か邪か、曲直の区別、そして真妄の区別が出来るのが、「智」の道です。
「智」はすべてを明白にし、その本性を理解することが出来ます。
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そして、人は生きている間、正しい判断をすることが必要なのです。
いつも聖人のあり方を見習い、まずは生活を成り立たせ、普段は素食、淡衣であることが肝心です。
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また、濁った気をことごとくなくし、清らかな気を留めて初めて、健康を養うことが出来ます。
そして、心を広く持ち体はゆったりさせて、気持ちを明るく保ち真実を見て、その中にあって生活を楽しむことが大切です。
至聖はいいます、「君子は道を謀りて、食を謀らず。これを智徳となす。」
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信 |
「信」は誠の信なり。子曰く、「民信無くば、立たず。」と。
人と人との交わりは、お互いに受諾して信頼関係を守ることを重要とします。
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つまり、言葉を言えば必ず実行し、友との約束は時刻を守ることが大切です。
当然、嘘をついたり、人をだましてはいけません。 |
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★五倫・・・・・・・「君臣有義、父子有親、夫婦別有、長幼有序、朋友有信」 という、人間関係 |
1君臣有義 |
君主は臣を礼を以て使い、臣は君主に忠を以てお仕えしなくてはいけません。
臣は君主に小さな過りがあれば、過りを指して明かにすべきで、忠誠心からの良い行いをなくしてはいけません。
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また、君主は間違いの臣あれば、当然誡めるべきで、臣は道に背き君主を恨んではいけません。君主は敬い、臣は忠すれば、自然と君臣は義が整うのです。
つまり会社でも、上司は部下を思いやり、部下は上司に忠誠心を持てば、自然と上下関係はうまくいくのです。
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2父子有親 |
父は子供に教えるに、仁徳が必要です。子供は父母に仕えるに、孝行の心が必要です。
父母は子供に教え諭し、事の大小を偏ってはいけません。
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子供は親に仕えるに当たり、父母を分けて考えてはいけません。
人の父となりては慈に止まり,人の子となっては孝に止まる。
そうすれば、自然に父子に親しさが生まれます。 |
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3夫婦別有 |
夫は妻を朋友のように待遇し、妻は夫に貴賓のように仕えるべきです。
家に大小の課題あれば、夫婦相談して行います。
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夫婦が子を産み育てるには、礼を以て教訓とします。
そして、子供が成長し成人になれば、祖先を祀り拝ませます。また、夫は身を修め、妻子はその命令に従うことが大切です。
そうすれば、自然と夫婦は別の役割に、ならないといけないということです。
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4長幼有序 |
兄は弟を愛し、弟は兄を敬わなければいけません。
住まいは一家団らんで和気があり、外では近所の人々と睦まじく、物事の処理には、礼と謙譲を最重要におく必要があります。
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同席の場合は、上下関係をきちんと分け、同行する場合は先後を分けてきちんとします。
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世界中、皆兄弟であり、兄が寛大で、弟が忍べば、自然に長幼に序があるようになるのです。また年長者が寛大で、年少者が堪え忍べば、自然にうまくいくようになるのです。
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5朋友有信 |
朋友と交わるには、言葉に信用がないといけません。
もし過ちや錯誤があれば、努めてこれを改め、もし善事であれば援助してこれを完成させないといけません。
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時として衣食共用し、生死でも離れず、富貴貧賤を論ぜず、徳を以て往来することが大切です。そうすれば、自然に友達関係はうまくいきます。 |
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